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michi suwa

雨の地下室、つむじ風

土曜日、じゅんの火葬が終わった後、ひとりで出かけた。息子と行くにはちょっと遠い場所で見たい展覧会があると、以前伝えていたのを夫は覚えてくれていた。

東横線から副都心線の直通列車に乗って要町で降りた。地下鉄の駅から出ると、知らない街は土砂降り。もう6時を回っていたので、傘は買わずにタクシーを拾って会場に急いだ。山手通りという名前だけは知っている大きな黒い道をタクシーは走った。人工の色の光がワイパーが動くのに合わせて緩んでは結び緩んでは結びを繰り返していた。

河田さんの展覧会の会場はオーナー宅と思われる木造家屋の地下にあった。コンクリートの壁で隔たれたいくつかの部屋。何事かを見損なうまいと、目と耳と色々凝らした。それでも多分、私は見損なっただろうと思う。つむじ風。見損なうためにあそこに居たようにさえ思う。小さいつむじ風。日射で暖められた地面に前触れなく起こるのがつむじ風らしい。唐突に差し込まれる垂直。目を凝らしたところで見えるはずもない。万が一目撃出来たら、時空に亀裂が入りそうだ。

こんな勝手な感想しか書けないけれど、とにかく行けて良かった。いつまでも河田さんすごいと言ってばかりじゃなく、頑張らないと自分。頑張ります。

帰りは川沿いの道を歩いて山手通りまで出た。ただ、川も道も黒く濡れて音も雨に混ざっていたせいで、川沿いを歩いていることにすぐには気づけなかった。

横浜に戻ると雨は上がっていた。