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michi suwa

梅雨

暗く湿った空気の日が続く。

金曜日、大学の研究室のテラスから見える濡れた緑に露のベールのグラデーションは美しかった。

遡って火曜日、えいやっと横浜美術館へ。ヌード展、充実した内容でとても楽しめた。神話や史実に動機を得られなくなって以降、純粋な造形的対象物ではなくなっていく裸。個人としてのモデルへの眼差し、エロス、ジェンダー、暴力、晒される裸の政治性、、。こういう視点を持った展覧会が歓迎されている状況はとてもいいなと思った。同時に、今はもうもっと露骨な剥き出しの欲望が其処此処にあって、こんなものではないよという感じも。

展覧会の最後に、学生の頃に好きだったRineke Dijkstraの作品があった。出産後数時間か数日の裸の母親が赤ん坊を抱いて、こちらを見て立っている写真3点。赤い悪露が足を滴っている、下腹部はまだ丸く腰は不安定そうだ。赤ん坊を抱く肩は不自然に強張っている。雑誌でこれを見たのは2000年頃だろうか。身体に刻まれたことも含めて、思い出されることは様々。そんな帰り道、息子の待つ家に急ぐ。